人物まとめ


▶イベリア

▶アビサル

▶エーギル

ソーンズ

コードネーム ソーンズ
出身地 イベリア
誕生日 3月17日
種族 エーギル(うに)
身長 177cm
鉱石病感染状況 非感染者
素質 神経猛毒、故郷の濤声
基地スキル 錬金術、爆発アート
スキル スキル1:攻撃力強化γ
スキル2:迎撃針棘
スキル3:デストレッツァ

個人履歴
剣術と薬剤制作に精通しているオペレーター。出生地イベリアの宗教紛争の中で故郷を離れ、ロドスに加入した。
イベリアの状況についてはソーンズの言葉によるもので、まだ考証されていない。
健康診断
造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

【源石融合率】0%
鉱石病の兆候は見られない。

【血液中源石密度】0.14u/L
源石成分を含んだ薬剤に頻繁に触れるため、感染する危険有り。

心配することはありませんよ。実験室を出入りする者にとって身体状況の管理は基本です。彼は自分の身を守る方法を心得ています。数値も安定していますから、やすやすと感染することはないでしょう。
――アンセル
資料
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    エピソード
    • 回想秘録「記念日」
      その出自とは関係なく、己が心の赴くままに。

    エリジウム

    エリジウム

    コードネーム エリジウム
    出身地 イベリア
    誕生日 5月8日
    種族 リーベリ(かもめ)
    身長 187cm
    鉱石病感染状況 感染者
    素質 狙撃支援
    基地スキル 通信員、旗印
    スキル スキル1:支援指令γ
    スキル2:集音

    個人履歴
    音声情報関連の特殊なアーツを使う、イベリア出身のオペレーター。自分の履歴にこっそり「百年に一人のイケメン」と書き添えようとした際、人事部のスタッフに発見され、阻止された。
    現在は特殊行動隊の第三小隊隊長補佐を務めており、戦場通信の維持と秘密作戦の支援を担当している。
    健康診断
    造影検査の結果、臓器の輪郭は不明瞭で異常陰影も認められる。循環器系源石顆粒検査の結果においても、同じく鉱石病の兆候が認められる。以上の結果から、鉱石病感染者と判定。

    【源石融合率】 7%
    体表にわずかな結晶の痕跡を確認できるが、本人はデコレーションだと言い張っている。そんなセンスのないデコレーション、あるはずがない。

    【血液中源石密度】 0.12u/L
    病状は安定し、病巣の広がりはある程度抑えられている。患者の容体に応じて、今後の治療計画を立てるべきだろう。

    病状はいつも通り安定してるぜ。あの溢れる自信とポジティブさが理由か?ああいう奴は嫌いじゃねぇけど、ちょっとウザイこともあるな。
    ──ガヴィル
    資料
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    グラウコス

    コードネーム グラウコス
    出身地 エーギル
    誕生日 7月27日
    種族 非公開
    身長 159cm
    鉱石病感染状況 非感染者
    素質 対空装置
    基地スキル 電磁充電α、電磁充電β
    スキル スキル1:デュアルリロード
    スキル2:電磁パルス

    個人履歴
    エーギル地区で生まれたが、早くに故郷を離れ、あちこちを放浪しながら生活していた。偶然の機会でロドスに加入し、現在はレイジアン工業の武器テストエンジニアを務めている。
    武器の研究や調整の他に、要請に応じて対空に特化した任務に自ら出撃することもある。
    健康診断
    造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。
    循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。
    以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

    【源石融合率】0%
    鉱石病の兆候は見られない。

    【血液中源石密度】0.11u/L
    源石との接触は極めて少ない。
    資料
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      アズリウス

      コードネーム アズリウス
      出身地 未公開
      誕生日 1月18日
      種族 アヌーラ(かえる)
      身長 157cm
      鉱石病感染状況 非感染者
      素質 神経毒
      基地スキル 毒理学α、毒理学β
      スキル スキル1:ダブルショット
      スキル2:毒液装填

      個人履歴
      アズリウスは経歴書が紛失したため、出身も不明である。毒性の薬剤で敵を一掃する特別行動において、優れた威力を見せた。
      現在狙撃オペレーターとしてロドスに在職しており、定期的に医療チームへ毒理学に関する研究を協力している。
      健康診断
      造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

      【源石融合率】0%
      鉱石病の兆候は見られない。

      【血液中源石密度】0.1u/L
      源石との接触は極めて少ない。
      資料
      • アズリウス自身の能力でほかのオペレーターとの距離が広がっている
      • 自身で調合した毒薬を矢に含ませているが、優雅ではないからと言う理由で敵に悲惨な死に方をさせない
      • 日常生活での自身の毒物は問題ない。自身の毒物には否定的
      • デザート作りが得意。グム(支援部食堂にてバイト)曰く普段甘味を嗜まない人も食べたくなる程の腕前。しかし見栄えが問題(イメージアメリカのお菓子参照)
      • ファッションセンス有り。流行りのコーディネートに興味あり→ロドス支援部や貿易部にコーディネートのアドバイスをしている
      • 大型生物との戦闘目撃情報あり。しかし、目撃だけであり証拠と言う写真や映像資料はない。本人から口頭も無し
      • エーギル人に連れ去られた
      • ケルシ―に毒物を提供。毒薬を制作

      インディゴ

      コードネーム インディゴ
      本名 アリア
      出身地 イベリア
      誕生日 9月30日
      種族 フィディア(へび)
      身長 167cm
      鉱石病感染状況 非感染者
      素質 柔光のとばり
      基地スキル 毒使いの友、光力発電、灯台供給門ジュール
      スキル スキル1:導灯の守護者
      スキル2:光と影の迷路

      個人履歴
      イベリア出身の流浪術師。かつてはとある灯台の守り人見習いだった。遊歴の途中、外勤任務中のアズリウスとグラウコスの二人と知り合い、前者の紹介でロドスへと入職した。
      健康診断
      造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

      【源石融合率】0%
      鉱石病の兆候は見られない。

      【血液中源石密度】0.12u/L
      源石との接触は極めて少ない。旅の最中には多少の源石製品と接触したが、幸い防護措置……ではなく、運がよかったようだ。

      めったに外出しない奴にだって、自分なりの健康維持の強みってものがあるわけだ。
      ――トゥイエ
      資料
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        モジュール
        ORIGINAL 「インディゴの記章」基本情報

        インディゴの記章

        インディゴはアーツエネルギーの制御に秀でている。
        外勤部門の決定に基づき
        外勤任務においては術師オペレーターとして区分し、秘術師の責務を担う。
        特別に本記章を授与し、
        その証明とする。

        MSC-X MSC-X 「杖のお手入れセット」基本情報

        杖のお手入れセット

        インディゴがロドスに来たばかりの頃、彼女のアーツユニットである杖を調査させてもらったことがある。
        しかし、先端の構造部が要であるということまでは明らかになったものの、それ以上の成果は得られなかった。
        その後の追加調査でも大きな成果は上がらなかったが、偶然通りがかった新入りのアイリーニとルーメンから貴重な意見を得ることができた。
        設備使用許可証の申請をするためにエンジニア部を訪れたという二人は、インディゴの杖を見るや、「イベリアの眼」で同じような物を見たと言ったのだ。
        「イベリアの眼」……それはイベリアの海沿いに点在する灯台である。
        かつて国家全体を照らす大規模な計画の一環として建てられたのだが、数十年前の大災害により放棄され、今や時代の遺物と成り果てている。
        インディゴの師はまさにそうした灯台の守り人であり、彼女が故郷を去る折りにこの杖を託してくれたらしい。

        「先端の構造部は、イベリアの灯台システムにおける制御装置の一種である」という結論に、恐らく間違いはないだろう。
        しかしインディゴ曰く、師は生涯ロックベイの灯台を守り続けており、いつか再び灯台に光が灯ることを望んでいたという。
        ならばなぜ、その鍵ともなり得る杖を彼女に託し、故郷を離れるよう命じることまでしたのだろうか。
        「先生はきっと、私が外で見識を深めて杖の秘密を解き明かし、その力を取り戻せるようにとお考えになったのだと思います。……先生らしいお心遣いです。」とインディゴは語った。
        それに対してアイリーニは、「そうしたエーギルの遺物がなければ、灯台に光を灯すことはできないのかしら?イベリアの存続は、今度こそイベリア人自身の力で成されるべきだと思うけど。」と言葉を返した。
        インディゴとアイリーニ、二人の相反する考え方には、イベリア人が持つ二通りの未来への展望が見受けられ、参考に値するものだった。

        しかし二人がその場を離れると、一人残ったルーメンは彼女らとまったく別の――より「世俗的な」推測を述べた。
        それは要約すると、年寄りが孫娘を大都市へと送り出すにあたって、家で唯一価値のある家宝を荷物に詰め込んでやり、彼女がこんな寂れたところへ二度と戻らずに済むように、と願うようなものではないか……という考えだった。
        何しろ、たとえ将来孫娘が戻ってきたとしても、自分はもうそこにはいないのだから、と。
        そして、ルーメンはこう付け加えた。
        「ご年配の方というのは、常々そういうものなんです。本人には知らせないまま、子供のために何もかも用意してあげたがるんですよ。」
        ともあれ、ひとりの老人がどのような意図でインディゴに杖を託したのかを、これ以上追及する必要はないだろう。
        アーツユニットの出処さえ明らかになれば、彼女に関する調査は完了となる。
        その上、彼女がすでにこれほどロドスから歓迎されている以上、調査結果がどうあれ、今後のことに影響を及ぼす可能性は極めて低いのだ。
        しかし、アーツユニットの出処を知った彼女は、一瞬だけ呆けたような表情を見せていた。
        あの刹那、彼女が一体何を考え、何を決意したのか――我々には知る由もない。

        ウィーディー

        コードネーム ウィーディー
        出身地 **
        誕生日 *月*日
        種族 **
        身長 **cm
        鉱石病感染状況 **
        素質 **
        基地スキル **
        スキル スキル1:**
        スキル2:**
        スキル3:**

        個人履歴
        **
        健康診断
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        ウィスパーレイン

        コードネーム ウィスパーレイン
        出身地 イベリア
        誕生日 3月6日
        種族 エーギル
        身長 169cm
        鉱石病感染状況 非感染者
        素質 命の灯台
        基地スキル 放浪の旅路、追憶
        スキル スキル1:対症療法
        スキル2:痛覚抑制

        個人履歴
        イベリア出身の放浪医師であるウィスパーレインは、めったに同じ場所に長期滞在しない。カジミエーシュやサーミにも活動記録が確認された。出会った患者に治療を施すのはどうやら物のついでにすぎないらしいが、その長く目的地が見えそうにない旅路の中で、救われた者は決して少なくなかった。
        偶然任務中のロドスオペレーターに出会い、救助したため、現在は随行医師として医療部に臨時加入し、一時的にロドスと行動を共にしている。
        健康診断
        造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。
        循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。
        以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

        【源石融合率】 0%
        ウィスパーレインに鉱石病の兆候は見られない。

        【血液中源石密度】 0.10u/L
        ウィスパーレインは自身への防護を丁寧かつ厳格に行っており、源石及び関連製品への接触は非常に少ない。

        どういうことだ?なぜこうも身体が脆く……鉱石病どころか、高熱一つで命取りになりかねんぞ!はぁ、このような体質、とても外を走り回れるものではないな。
        ──ワルファリン
        資料
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          エピソード
          • 回想秘録「雨降る前に」
            癒せない病も痛みもある。それでも人々は生きていく。

          モジュール
           ORIGINAL 「ウィスパーレインの記章」基本情報

          ウィスパーレインの記章

          ウィスパーレインは広範囲の治療を行うと同時に、有益な効果を付与することに秀でている。
          外勤部門の決定に基づき
          外勤任務においては医療オペレーターとして区分し、療養師の責務を担う。
          特別に本記章を授与し、
          その証明とする。

          WAH-X WAH-X 「使い込まれた救急箱」基本情報

          使い込まれた救急箱

          それはある雨の日でした。ひとりの若い旅人が我が家のドアを叩き、少し雨宿りさせてほしい、とか細い声で言いました。
          村に奇病が蔓延し、子供たちが一人また一人と病に冒されていたのもその時期です。うちのウィッキーも例外ではなく、奇病に苦しむ日々を送っていました。村人たちの間ではきっと魔族の巫術だろうという噂が広がり、みな固く戸締りをして家に閉じこもっていました。ですが私たちは風が吹けば折れてしまいそうなほどの女性を、暴風雨の中で荒野へと追い返すことなどできず、仕方なく部屋に招き入れました。
          その方はウィッキーの様子を一目見ただけで異常に気が付きました。私たちに詳しい症状と村の状況を訊ねた彼女は、自身が放浪医であることを明かしました。
          「巫術やアーツの類いではなく、病気の一種です。土地や水源が汚染されたことで、まずは子供たちが病気にかかってしまったようです。毒素が蓄積されていけば、いずれ大人たちにも症状が出てしまいます。」
          彼女はそう言うと持っていた救急箱を開き、慣れた手つきで薬剤の調合を始めました。
          「私にできるのはあくまで応急処置です、申し訳ございません。このような病気の場合、汚染源から離れ、長期的な投薬により徐々に体を整えるのが唯一の治療法です。可能であれば、村人の皆様にお伝えいただき、移住を検討していただけると。」
          「だがここは俺たちの故郷なんだ。」
          夫が心配そうに言いました。
          「仮にこの土地が本当に病気の原因でも、俺たちはここから離れてどこで暮らせばいいんだ?」
          お医者さんはそれ以上は語らず、黙々と調薬を続けました。

          翌日は晴れました。 玄関前で、ひっそりと去ろうとしているお医者さんとばったり会いました。ドアにはどこにでも咲いているような野花が、まだ摘んで間もない様子で飾られていました。それを目にした瞬間、頭の奥で眠っていた記憶と、目の前のお医者さんの姿が重なりました。
          「お医者さん、前にお会いしたことがありましたね。今やっと思い出しました。」
          「まだ私たちが移動都市の周辺にある村に住んでいた頃です。みんなの病気を診てくださったのと、まだ子供だった私たちにこうやって花を摘んできてくださったのを覚えています……私はいつもカーテンの陰からこっそり見ていました。」
          「もう何十年も前になりますね。実はあれから母が鉱石病に感染してしまい、追い出されてここに流れ着いたんです……私もすっかり年を取りましたし、もう顔を見ても分からないでしょうね。ですが、お医者さんはあの頃と全く変わらない様子で……」
          私は心からの感謝を伝えようとしました。当時は高熱に 苦しんだ私を救い、今は私の子供を助けてくださったのですから。しかしお医者さんは呆然とした表情の後、まるで泣き出してしまいそうな程に悲しい顔をしました。
          「ごめんなさい、どうか……どうかそれ以上は仰らないでください。私のことなどもう忘れていただいて結構ですから。」

          ルーメン

          コードネーム ルーメン
          本名 ジョディ・フォンタナロッサ
          出身地 イベリア
          誕生日 6月12日
          種族 エーギル()
          身長 177cm
          鉱石病感染状況 非感染者
          素質 凡人の願い、応急処置
          基地スキル 優しい光·α、優しい光·β
          スキル スキル1:恵みの慈雨
          スキル2:清めの沛雨
          スキル3:不滅の灯火

          個人履歴
          ルーメンはエリジウム及びケルシーの推薦により、現在はイベリアに駐在するロドスのオペレーターとして、イベリア地方における感染者への医療支援と救護活動のサポートを行っている。また、彼はロドス、エーギル及び裁判所の三者が揃う会議にも加わっており、自分の視座からの意見を述べ、各組織と協力して、将来起こりうる事案への対策を模索している。
          健康診断
          造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

          【源石融合率】 0%
          鉱石病の兆候は見られない。

          【血液中源石密度】 0.12u/L
          源石との接触は極めて少ない。とはいえ、他人の面倒の見方はよく知っているルーメンだが、自分自身の健康にも多少は気を配ってほしい。あまり無理をしないように。
          資料
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            モジュール
            OGIGINAL 「ルーメンの記章」基本情報

            ルーメンの記章

            ルーメンは広範囲の治療を行うと同時に、有益な効果を付与することに秀でている。
            外勤部門の決定に基づき
            外勤任務においては医療オペレーターとして区分し、療養師の責務を担う。
            特別に本記章を授与し、
            その証明とする。

            WAH-X WAH-X 「純銅製望遠鏡」基本情報

            純銅製望遠鏡

            ジョディの脛には、もうほとんど見えなくなった傷跡がある。
            これは九歳の時についてしまったものだ。
            幼い頃の彼は町の広場沿いのベンチに座っているのが好きで、ただ膝を抱えて広場の中央にある彫刻を――灯台を模した彫刻を眺め、ぼんやりと一日を過ごしていた。
            ジョディが自分でじっくり吟味した定位置に腰掛けていれば、そこからは夕暮れのある一瞬だけ、沈む太陽が彫刻のてっぺんに重なって、小さな灯台に光が灯ったように見えるのだ。
            しかし残念ながら、そんな光景はほんの一瞬のものでしかない。
            数度呼吸するうちに、彫刻に灯る光は消え、すぐに辺りのすべてが影に、闇に飲まれていき、垣間見たその光景はまるで幻覚だったかのように消え去ってしまう。
            幸い、太陽は明くる日も昇り、灯台もまた光を灯すのだが、無論それは変わらず、一瞬だけのことだった。

            九歳の誕生日、ジョディは大きなことをしようと決意した。
            結局のところ、もっと恒久的な何かを手に入れたいと、そう思っていたのだ。
            彼は、町の年老いた労働者たちが誇りに思っていながらも隠しておこうとするそれを、顔も知らない両親が姿を消した際、目指していたという本物の「イベリアの眼」を、自分の目で見てみたかった。
            それゆえ、ジョディは広場の彫刻に登り始めた。
            この上に立てば、きっと深い霧を裂いて輝く、灯台の光が見えると信じて。
            一歩、また一歩と登っていくと、広場の通行人たちが慌てて叫んでいるのが聞こえた。
            けれども、彫刻のてっぺんはもうすぐそこにあった。
            軽くジャンプでもすれば、きっと……
            その時、ジョディは突然、自分が落ちて行っていることに気が付いた。
            足掛かりにしていた突起が崩れたのかもしれないが、理由などもはやどうでもいい。
            ジョディは必死で視線を遠くに投げかけた。
            ほんの一瞬でもいいから、見てみたかったのだ。
            しかし、そこには――何もなかった。
            ただ薄絹のような霧だけが、海上のすべてを覆い隠していた。

            ジョディが目を覚ますと、そこは自宅だった。
            足には包帯が巻かれていて、部屋には肉粥のいい香りが漂っていた。
            彼が寝返りを打つ物音を聞いて、ディエゴがキッチンから顔を出した。
            ジョディはひどく叱られるものと思ったが、ディエゴはただ暫し彼をじっと見つめてから、ため息をついて机のほうを指さしただけだった。
            視線を向ければ、そこには魅力的に輝く金属製の望遠鏡が置かれていた。

            ――そんなすべては、もう何年も前のことだ。
            彼の傷跡は今や薄くなっていて、町の広場だけが、時間に忘れ去られたかのように何一つ変わらずそこにある。
            ジョディは子供の頃一番好きだったその場所に座った。
            本物のイベリアの眼をついに見ることができたというのに、ジョディにはもう、おじさんと並んでベンチに座り胸躍らせる物語を聞くことも、代わる代わる望遠鏡で遠くを眺めることもできなくなってしまった。
            そもそも、望遠鏡を使ったところで、霧の向こうを目にすることなどできないのだが……
            そのことだけは、二人のどちらも、まるで示し合わせたかのようについぞ口にはしなかった。

            アイリーニ

            コードネーム アイリーニ
            出身地 イベリア
            誕生日 1月3日
            種族 リーベリ()
            身長 156cm
            鉱石病感染状況 非感染者
            素質 審判の灯火、浄化の剣
            基地スキル 剣とハンドキャノン、精神鍛錬
            スキル スキル1:舞風
            スキル2:裂潮
            スキル3:判决

            個人履歴
            アイリーニは、イベリアの大審問官ダリオの弟子であり、以前までは自身も審問官の職に就いていた。彼女はイベリアの歴史、法律、人文、地理などに関して豊かな知識を有している。「狂人号」事件以来、アイリーニは審問官の職を辞して、ケルシー直々の推薦により、現在は裁判所のトランスポーターとしてロドスとの協力協定を結び、海からの脅威に備えている。
            健康診断
            造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。


            【源石融合率】 0%
            鉱石病の兆候は見られない。

            【血液中源石密度】 1.1u/L
            源石との接触は極めて少ない。
            危険地域への出入りは多いですが、防護をきちんとされているので、ぜひそのまま続けていただきたいです。
            ──医療オペレーターより
            資料
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              ハイモア

              コードネーム ハイモア
              出身地 イベリア
              誕生日 8月23日
              種族 エーギル()
              身長 156cm
              鉱石病感染状況 非感染者
              素質 捕食、消化、罹患、浸染
              基地スキル 意識統一、標準化β
              スキル スキル1:懐古、別れ
              スキル2:泡沫、破滅

              個人履歴
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              健康診断
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                スカジ

                コードネーム スカジ
                出身地 エーギル
                誕生日 3月7日
                種族 非公開(シャチ)
                身長 166cm
                鉱石病感染状況 非感染者
                素質 深海の捕食者、高速復帰
                基地スキル 一人きり、悲歌
                スキル スキル1:迅速攻撃γ
                スキル2:波濤の裂刃
                スキル3:海嘯の悲歌

                個人履歴
                スカジはバウンティハンターであり、現在はロドスに雇用されている。かつての任務では、対大型生物戦、ハードターゲット破壊、堅塁攻撃戦、殲滅戦等多様な作戦において高い実力を発揮した。過去の戦闘経験との関連があると推測する。
                バウンティハンターになる以前の履歴は無し。
                現在はロドスの某堅塁攻撃小隊に配属され、同時に単独任務予備執行オペレーターの一員でもある。
                健康診断
                造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

                【源石融合率】0%
                鉱石病の兆候は見られない。

                【血液中源石密度】0.013u/L
                何だ?どういうことだ?どうして?!ま、まるで温室から出てきたばかりで、源石とはどんな接触もしたことがないかのようです!数値が低いどころの話じゃありません。はっきり言ってありえません!

                私はオペレータースカジを医療部から手放しては絶対にいけないと思います。絶対に。たとえ作戦小隊と戦うことになるにしても、この意見は曲げません!彼女は特例中の特例です!生物学と医療科学を愛しているオペレーターで、スカジの体の神秘を探りたくない者などいません!我々には彼女への更に多くの測定が必要です!それから、彼女の全ての解析と、臨床観察を要求します!それから、それから……
                違います、ケルシー先生ッ、今回だけです、お願いします!
                ──医療オペーレーターJ.A.

                申請は却下した。
                ──ケルシー医師
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                  コードネーム 濁心スカジ
                  出身地 エーギル
                  誕生日 3月7日
                  種族 非公開(シャチ)
                  身長 166cm
                  鉱石病感染状況 非感染者
                  素質 太古の血族、捕食本能
                  基地スキル 補助エキスパートα、同化、変異
                  スキル スキル1:同帰殊塗の吟
                  スキル2:同葬無光の願
                  スキル3:「満ち潮、枯れ潮」

                  個人履歴
                  今後もし現状のまま進んでいけば、誰も彼女が「何」であるかを気にする者さえいなくなる。問題はスカジがどうこうの話ではない。そもそもたった一人に何かを変えるほどの力はない。私が言いたいのは、このような生理的状態、そしてこの類の生物性物質が示した最終状態は、我々の社会、歴史、科学においてすべての物差しを意味のないものとしてしまう可能性があるということだ。我々の粗末な医療研究環境が少しでも役に立ってくれれば……
                  健康診断
                  正直、ケルシー先生が一体どこからこんな計器を仕入れたのかまったくわかりません。こんな勝手にいじっちゃって大丈夫でしょうか?
                  そんな目で見ないでください、二人共。ただの好奇心です!えっと、うん、そうです、好奇心でこの分析を手伝っているだけです。
                  まったくスカジも、ドクターが言ったからって、ホイホイついて来るのってどうなの?
                  え?このプロジェクトを実施したいのはあなた自身?じゃ、じゃあ私、ドクターを誤解してしまったのですね。
                  分かりましたよ、ドクター……今回きりですよ。次なんてありませんから。さあ早く、先生が戻ってくる前に……


                  造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

                  【源石融合率】0 %

                  【血液中源石密度】 0.012u/L
                  そんなことある?

                  ……良いこととは言い難いですね。私たちが採取したこの造血幹細胞が……増殖しています。スカジさんの身体から離れて、培養皿に入れられても……増殖しているんですよ
                  資料
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                    スペクター

                    コードネーム スペクター
                    本名 ローレンティーナ
                    出身地 エーギル
                    誕生日 7月27日
                    種族 未公開(サメ)
                    身長 162cm
                    鉱石病感染状況 感染者
                    素質 最大HP上昇、深海の蘇生力
                    基地スキル 一人きり、狂熱
                    スキル スキル1:攻撃力強化γ
                    スキル2:肉斬骨断

                    個人履歴
                    スペクターは経歴書が紛失したため、身元も出身も不明である。大型生物へ対するアクションや、手ごわいターゲットを破壊するときに見せた極めて強力な技術は、過去の戦闘経験により身についたものだと推測される。
                    現在は前衛オペレーターとしてロドスのとある作戦小隊に在職中。
                    健康診断
                    造影検査の結果、臓器の輪郭は不明瞭で異常陰影も認められる。循環器系源石顆粒検査の結果においても、同じく鉱石病の兆候が認められる。以上の結果から、鉱石病感染者と判定。

                    【源石融合率】14%
                    体に源石結晶は生成されていないが、神経系への感染は顕著。症状の原因は未だ究明できない。

                    【血液中源石密度】0.31u/L
                    まだコントロールできる範囲ではあるが、もしスペクターの具体的な病状を解析できなければ、正確な病状は把握できず、検測データも意味をなさない。

                    また、スペクターには重症な精神障害がある。記憶障害や感情障害、認知障害、またその他にも障害があるかもしれない。私は精神科医ではないのでそれが先天性か否かは判断できないが、彼女の心理状況を資料として記録してほしい。
                    ――医療オペレーターサイレンス

                    コードネーム 帰溟スペクター
                    本名 ローレンティーナ
                    出身地 エーギル
                    誕生日 7月27日
                    種族 未公開(サメ)
                    身長 162cm
                    鉱石病感染状況 感染者
                    素質 内なる抱擁、エーギルの深奥
                    基地スキル 特殊エキスパートα、エーギルの戦術、闘争への渇望
                    スキル スキル1:生存の技巧
                    スキル2:生への渇望
                    スキル3:生からの重圧

                    個人履歴
                    スペクターの本名はローレンティーナという。彼女は、エーギルの軍事組織「アビサルハンター」の一員であり、大型生物との戦闘や、強固な目標物の破壊においては、非常に優れた技術を発揮する。「狂人号」事件後、彼女の精神状態は安定化し、記憶も回復して、感情の起伏も穏やかになった。
                    健康診断
                    造影検査の結果、臓器の輪郭は不明瞭で異常陰影も認められる。循環器系源石顆粒検査の結果においても、同じく鉱石病の兆候が認められる。以上の結果から、鉱石病感染者と判定。

                    【源石融合率】 14.5%
                    神経の感染に関しては、脊髄へ強制的に注入された大量かつ高濃度の液化源石が原因と判明している。現在の医療技術では彼女の病状に対処することは不可能であり、現状維持を目的とした最低限の治療を行うことしかできない。

                    【血液中源石密度】 0.34u/L
                    源石感染の進行度は極めて遅い。我々にとっては通常考えられないことではあるが、非常に喜ばしいことでもある。また、その原因は、アビサルハンターが受けたという改造にあるものと推測される。

                    スペクターの医療ファイルは権限の高いデータベースに移行された。本件の担当関係者は機密保持を心がけること。

                    ──医療部内部告知より
                    資料
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                      モジュール
                      ORIGINAL 「帰溟スペクターの記章」基本情報

                      帰溟スペクターの記章

                      帰溟スペクターは戦場において身替わりを用いて敵を翻弄することに秀でている。
                      外勤部門の決定に基づき
                      外勤任務においては特殊オペレーターとして区分し、傀儡師の責務を担う。
                      特別に本記章を授与し、
                      その証明とする。

                      PUM-X PUM-X 「『レコード』収納箱」基本情報

                      『レコード』収納箱

                      今日は任務のない休日だ。
                      こんな日にすべきことといったら、次の任務や戦いにベストな状態で挑むべく、目いっぱいリラックスすることくらいのものである。
                      スペクターはレコードボックスから一枚適当に見繕い、蓄音機にかけた。 その場に抑揚のついた音楽が流れ出す。
                      このレコードはイベリアの黄金時代に作られた傑作で、イベリアのオペレーターから買い取ったものだ。

                      スペクターは目を閉じてソファに沈み込むと、静かにそれを楽しむ。
                      黄金時代のイベリアがいかなる偉業を成し遂げたかということなど、彼女には知るよしもない。
                      だが、この音楽からはそれがいかに輝かしい時代であったかが伝わってきて、当時の人々の誇らしげな顔が目に浮かぶようにすら感じていた。
                      確かに、悪くない。彼女はそう認めた。
                      「陸上文明の素晴らしさ」とやらに対する軽蔑を隠すつもりはないものの、こうした偏見を芸術の分野にまで持ち込むつもりもなかったのだ。
                      ――そう、これは「偏見」である。
                      彼女は、「偏見」を持っていることに自覚的でありながら、ドクターの前でも隠そうとはせず、自分を貫いている。
                      しかし、これは決して無意味なこだわりではなかった。
                      その上で、彼女は自分の偏見を、隊長の持つ傲慢さとは似て非なるものだと考えてもいた。
                      隊長の「傲慢」は、総戦略設計士としての彼女の視野がもたらすものだろう。
                      一方でスペクターは、自身の力の根源がどこにあるかには関心がない。
                      偏見を持っていながらも、ロドスでの今の仕事に情熱を燃やしているのだ。
                      とはいえ、彼女にも時折、こう考えてみる時がある。
                      「故郷にあるあの彫刻や、私の故郷そのものは、今頃どうなっているのかしら。」

                      音楽が止まった。
                      ローレンティーナが目を開くと、もうずいぶんと見慣れてきた天井がそこにある。
                      恐らくはこの先も、一層この環境に馴染んでいくのだろうが、それに対する恐怖はなかった。
                      その手の恐れは、慣れ親しんだ環境を離れたくないという思いからくるものだが、彼女はすでにエーギルで暮らしていた頃の感覚をほとんど忘れてしまっていたのだ。
                      スペクターはレコードボックスから丸ノコの刃を取り出して、優しく手入れをし始めた。
                      それと同時にレコードを取り替えて、再び音楽を流す。
                      イベリア人が様々な方法で黄金時代の輝きを後世に残そうとしたように、自分もかつて熱中していた彫刻に再び目を向けて、何か彫ってみても良いかもしれない。
                      幸い、故郷に戻るのは当分先のことになるだろうし、その有様を思い出す時間はたっぷりと残されているのだから。
                      スペクターはどこか自嘲気味に、そんなことを考えていた。

                      *** 「至らずの美しさ」基本情報

                      至らずの美しさ

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                      グレイディーア

                      コードネーム グレイディーア
                      出身地 エーギル
                      誕生日 11月6日
                      種族 非公開(メカジキ)
                      身長 181cm
                      鉱石病感染状況 非感染者
                      素質 エーギルの波涛、弱肉強食
                      基地スキル 潮汐の見張り番、集団狩猟α、集団狩猟β
                      スキル スキル1:渇水の大洋裂断
                      スキル2:渇水の荒波掌握
                      スキル3:渇水の乱渦狂舞

                      個人履歴
                      グレイディーア、エーギル人。エーギルの技術執政官であり、栄誉軍団長である。エーギルの軍事団体「アビサルハンター」の総戦争設計師の一人。上陸時間及び地点は共に不明である。大型生物対抗、ハードターゲットの破壊、陣地攻略戦、殲滅戦、機動戦および諜報戦など複数タイプのオペレーションにおいてただならぬ実力を発揮してみせた。今は共闘という姿勢でロドスに協力し、ロドスの一部仕事を補助している。エーギルの国家職能としての身分を保持すると同時に、ロドスのエーギル事務責任者を兼任している。
                      健康診断
                      造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

                      【源石融合率】 0%
                      鉱石病の兆候は見られない。

                      【血液中源石密度】 0.011u/L
                      源石との接触は極めて少ない。エーギル境内に源石が乏しいのはなぜなのだろうか?

                      【星空の下に蔓延る悪しき病は源石病だけではない。海そのものが感染した死病は異種の血肉である。】
                      資料
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                        モジュール
                        OGIGINAL 「グレイディーアの記章」基本情報

                        グレイディーアの記章

                        グレイディーアは敵を引き寄せる攻撃に秀でている。
                        外勤部門の決定に基づき
                        外勤任務においては特殊オペレーターとして区分し、鉤縄師の責務を担う。
                        特別に本記章を授与し、
                        その証明とする。

                        HOK-X HOK-X 「執政官の手鏡」基本情報

                        執政官の手鏡

                        母の出かける物音が遠ざかり、やがて聞こえなくなったあと、幼きグレイディーアはベッドから起き上がった。
                        アシスタントAIに声をかけて明かりをつけさせ、枕の下に隠した小さな手鏡を取り出す。
                        普段通りの生活リズムなら、時計の数字がすべてゼロになったあとまで目を覚ましていることはないのだが、その夜の彼女は自身と向き合い、決断を下さねばならなかった。
                        ほかのエーギル人から見れば、彼女は科学アカデミーの大物の娘であり、数々の青少年大会で優勝を総なめした実力者であり、仲睦まじい家庭で育ち、幼くして成功を手にした人物だ。
                        しかし、鏡に映るその顔はまるで感情のないロボットのようだった。
                        ――グレイディーアが物心ついた頃にはもう、生みの母はエーギルの事業と科学アカデミーの決定に心酔しており、この家はアカデミーの休憩室に次ぐもう一つの居住地でしかなかった。
                        かつては彼女も、母が自分に成果を求めていると思い込み、幼い自分に成人と同じ基準を課してまでそれに応えようとしたものだったが……
                        母はその努力に一切反応しなかった。
                        ――認められることはおろか、批判されることすらもなかったのだ。
                        母はエーギルに、持ちうる時間のすべてを捧げており、娘に構う暇など一分一秒たりとも持ち合わせていなかった。
                        そのうちに、「母が自分を産んだこと自体がある種のアクシデントに過ぎず、この家庭は存在する必要もなかった」――と、グレイディーアは結論づけた。
                        そうとなれば、「家」と呼べる場所を、「家族」と呼べるエーギルを探さねばならない。
                        そのために行動しなければ。彼女は覚悟を固めた。
                        民事裁判所に立つ母がどのような弁明をするのかも、自らの耳で聞き届けるつもりで。
                        手鏡をしまうと、明かりを消して目を閉じる。頭の中では、今後の構想が組み上げられ続けていた。
                        その夜、彼女は一睡もできなかった。

                        グレイディーアは執政官邸の大きな姿見の前に立ち、そこに映るちっぽけな自分を眺めた。
                        数時間後にはここを離れ、手術台に横たわって、アビサルハンターになるための改造手術を受けることになっている。
                        手術が終われば、彼女は技術執政官の肩書きを失い、軍事指揮官としての責務を負うことになるだろう。
                        戦場に立ち、両手を血に染める怪物となるのだ。
                        そうなれば、彼女が描いていた人生設計はもはや叶わぬものとなり、命までもが奪われることになる、かもしれない。
                        彼女は一度として死や犠牲を恐れたことはなかったが、鏡に映った美しいホールが心残りを思い出させた。
                        アビサルハンターになれば、今ある欲望や責任は打ち捨てられ、これまでに交わした数々の約束は二度と叶わぬものになる。
                        もし手術を遅らせることができたら……もしエーギルがもっと早く計画の全貌を打ち明けてくれていたら……
                        そんな考えが頭を巡りだして初めて、自分が思うほどすべてを掌握しきれていたわけではないことに、彼女は気が付いた。
                        今失おうとしているものを、この先取り戻すことなどできはしないのだ。
                        グレイディーアは再びホールをぐるりと見回すと、自身の書斎へ戻った。
                        そうして数時間後、アビサルハンターの実験基地へと出発した。
                        その直前、彼女は執政官邸のアシスタントAIに、二つのファイルを保存しておくよう依頼した。
                        一つはアビサルハンターとなったあとのスピーチ原稿であり、もう一つは、遺書だった。
                        ……
                        エーギルに属さない土地へ追放されたグレイディーアは真の意味ですべてを失った。
                        彼女のもとに残ったのは、血まみれの矛と、なんとか体裁を保てそうな衣装、そして果てなき渇きと灼熱感だけだ。
                        今の彼女は、淡水でできた水たまりの前で、そこに映る自分を眺めながら、服の汚れと血を洗い落としている。
                        泥や砂は水をかければ流れ落ちるが、服にこびりついた血はなかなかきれいに落としきれず……彼女にはただそれをこすり続けることしかできない。
                        赤黒い固体が透明な液体に触れ、血と同じ色に染まって指の隙間からしたたり落ちる。
                        その様子を眺めながら、彼女は手を動かし続けた。
                        それが彼女自身の血なのか、それともシーボーンの血なのか、あるいは仲間たちの血なのか……
                        グレイディーアには判別が付かなくなっていた。
                        ――ふと、何かに気付いた彼女は、再び水たまりを覗き込み、自身の首元を確かめた。
                        小さな鱗が一枚、そこにある。
                        その時、グレイディーアはなぜだか母を思い出した。
                        もし過去に戻れるのなら、たとえ母に冷遇され続けるとしても、この鱗が首に現れるような未来は選ばないだろう。
                        けれど、目の前のこれはすでに起きてしまったことだった。
                        グレイディーアは立ち上がり、淡水の滴る髪の毛を背中に流す。
                        自身の心にある怒りと不満を感じてはいたが、それをあらわにする必要などなかった。
                        そうしたところで、何の意味もないからだ。
                        彼女はたしかに、すべてを失った。
                        しかしそれと同時に、なおも最低限の体面と尊厳を保てる可能性が残っていることにも気付いた。
                        つまるところ彼女はまだ、顔を上げて前に進めるのだ。
                        グレイディーアに希望は必要ない。
                        彼女はただ可能性や実現性、そして結果のみによって動く。
                        ――まだエーギルに戻れるかもしれない。
                        散り散りになったアビサルハンターを、見つけ出すことができるかもしれない。
                        確率が残されているのなら、試すべきなのだ。
                        今、すぐにでも。
                        グレイディーアは矛についた血をきれいに拭き取ると、「水たまり」のそばから姿を消した。
                        数秒後、その移動に伴う衝撃波が水たまりの水を吹き飛ばし、彼女の痕跡を完全に消し去った。

                        アンドレアナ

                        コードネーム アンドレアナ
                        出身地 イベリア
                        誕生日 11月16日
                        種族 エーギル(いか)
                        身長 166cm
                        鉱石病感染状況 非感染者
                        素質 深海の第六感
                        基地スキル 一人きり、逃げるが勝ち
                        スキル スキル1:攻撃力強化γ
                        スキル2:脅威妨害戦術

                        個人履歴
                        イベリア出身、インキャンデセンスのボディガードとして、共にロドスに加入した。
                        射撃の腕が優れており、専門の訓練を受けた後、狙撃オペレーターとして活躍している。
                        健康診断
                        造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

                        【源石融合率】0%
                        鉱石病の兆候は見られない。

                        【血液中源石密度】0.12u/L
                        源石との接触は極めて少ない。
                        資料
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                          モジュール
                          ORIGINAL 「アンドレアナの記章」基本情報

                          「アンドレアナの記章」

                          アンドレアナは遠距離から敵を撃破することに秀でている。
                          外勤部門の決定に基づき、外勤任務においては狙撃オペレーターとして区分し、戦術射手の責務を担う。
                          特別に本記章を授与し、その証明とする。

                          DEA-X DEA-X 「銃器整備用工具箱」基本情報

                          「銃器整備用工具箱」

                          定期検査が終わった後、ガヴィル先生に飲みに誘われたけどまた断った。別に先生が嫌いとかじゃないし、いい人だと思ってる。でも面倒ごとは嫌いなんだ。
                          ガヤガヤとした喧騒に、アルコールに腕相撲、そして必ず現れるトミミとかいう子……一つずつなら別に気に障ることもないし、可愛いとさえ思うこともある。だけど全部いっぺんに来られると、それは面倒以外の何物でもない。だからバーで一晩無駄にするより、一人デッキで風に当たりながらジュースでも飲んでた方がいい。そう、今みたいにね。

                          ジュースはすぐ空っぽになった。
                          一人でいると気楽だけど、すぐつまらなく感じてしまう。
                          整備セットが入った工具箱を開いて、「銃」のメンテナンスをすることにした。まぁ娯楽代わりってやつかな。
                          完全分解。20秒。
                          パーツに付着した汚れを拭き取る。81秒。
                          金属パーツの潤滑剤を交換。35秒。
                          組み立て。15秒。
                          もしこの銃が本物だったら、整備セットももっと役に立つんだろう。だけどあいにく、私のは変わった形のスリンガーみたいなものだし、特注の墨弾しか発射できない。耳にするだけで震えが来る源石なんかとは一切関係ない代物だ。
                          でもそれを人に押しつけたり、使えないものを無理に使おうとしたって何にもならない。使える人が決まってるものだってあるんだ。

                          もう一本ジュースをもらいに行こうか迷っていると、何人かデッキへ上ってきたようだった。足音以外には何も聞こえない。その人たちは私の気配を察してか、あえて近づいてこようとはせず、デッキの向こう側で立ち止まったようだった。
                          ほどなくして、軽やかな歌声が聞こえてきた。振り返ってみると、そこには予想通りアビサルハンターたちがいた。あの三人を見ると動悸がする。ドクターには「一目惚れ」だなんて言ってあるけど、もちろん冗談だ。おおよその予想はついていて、たぶん小さい頃のあの件が関係してる。
                          だけど聞きに行くつもりもなければ、深く考えるつもりもない。どうせ聞いても教えてもらえないだろうし、考えたってろくな解決法なんて浮かびやしない。悩みが増えるだけなら何もしない方がマシだ。
                          だってそんなの、ガヴィル先生が百人に分身して、バーを百軒はしごさせられて、百晩そこで過ごすよりも百倍面倒だから。<
                          だから、例の件が私の日常生活に浸触してこないのなら、それでいい。積極的に面倒事の渦に飛び込む趣味なんてないから。
                          だけど、時折──本当に時折。
                          目を閉じると、人の姿が見えることがあるんだ。全く記憶にない人物だけど、間違いなく、私を面倒事に巻き込んだ中心人物だってわかる。
                          海の匂いをまとった、ローブを着たイベリア人……
                          思考を断ち切るように、私は銃を背負って立ち上がる。散々駄々をこねてようやく手に入れた工具箱の取っ手が手になじむ。さあ、二杯目のジュースを取りに行こう。

                          ミズキ

                          コードネーム ミズキ
                          出身地 極東
                          誕生日 3月22日
                          種族 エーギル
                          身長 161cm
                          鉱石病感染状況 非感染者
                          素質 恐怖喚起、逆転移
                          基地スキル 意識連結、標準化β
                          スキル スキル1:呼び声
                          スキル2:ジレンマ
                          スキル3:鏡花水月

                          個人履歴
                          ミヅキはボリバルのドッソレスシティで一部のオペレーターと接触した後、本艦まで同行した。関連オペレーターによる初歩的な質問と考察後、本艦への一時滞在許可が下りた。
                          彼は優秀な学習能力を有しており、現段階でかなりの事務仕事の補助を全うできるようになっている。オペレーターとしての養成も視野に入れることが考えられる。調査と評価の後、ミヅキの本艦における長期滞在が許可された。
                          健康診断
                          造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

                          【源石融合率】0%
                          鉱石病の兆候は見られない。

                          【血液中源石密度】 0.07u/L
                          源石に接触することは滅多にない。


                          警告、権限不足です。一部詳細な生理ステータスへのアクセスは、より高い医療部門関連権限を要します。
                          資料
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                            モジュール
                            ORIGINAL 「ミヅキの記章」基本情報

                            「ミヅキの記章」

                            ミヅキは身を潜め、敵を待ち伏せし奇襲する戦術に秀でている。
                            外勤部門の決定に基づき
                            外勤任務においては特殊オペレーターとして区分し、潜伏者の責務を担う。
                            特別に本記章を授与し、
                            その証明とする。

                            AMB-X AMB-X 「使者の盟約」基本情報

                            「使者の盟約」

                            あの子もいずれは、ありふれた結果に終わるのだろうと思っていた。
                            しかし、その舌が使者の贈り物に触れてもなお、あの子は大群の声に呑まれ卑小な恐魚に成り果てることなく、すべてを我が物にしてみせた。
                            となれば、事情は変わってくる。

                            私は、あの不幸にも行われた略奪を阻止できたはずだった。
                            けれど実際には何もせず、ただ賊徒の悪行を眺めていただけだ。
                            今となってはそんな自分を軽蔑することしかできない。
                            傍観に徹した理由が、十分な資質を持った被検者を確保し、人類の可能性を探ることにあったのを考慮しても、だ。
                            のちにあの子も、本来なら私がすべての人を救えたはずだと気付いただろう。
                            だが、あれは聡い子だ。わざわざ私を問い詰めるまでもなかったのかもしれない。
                            そう、あの子は聡く、向上心もあったが、一方で知識に敬意を抱くことも、それを単なる道具と見下すこともなく――
                            まるで傍観者であるかのように、すべての事象から一歩引いて、目にするものものを分析しているふうでもあった。
                            あれが使者の血肉で結ばれた繋がりに惑わされなかったのは、そのためなのかもしれない。
                            仮に違う出自であったなら、界隈に新たな風を吹かせる学者として名を馳せた可能性すらある。
                            ともあれ、あの子に何の変化も見られなかったことで、私は自身の研究を疑わざるを得なくなった。
                            そのため、観察期間を延長することになったのだ。
                            やがてあの子は例の賊徒たちを探し当てると、自身の血肉を切り取って分け与え、問いを投げかけた。
                            彼らが悪の道へと踏み入ったのは、飢えと貧困のためか否か。
                            豊かな生活が保障されるのなら、その道から足を洗えるか否か――

                            あの子もいずれは、ありふれた結果に終わるのだろうと思っていた。
                            しかし、今回は――人類の希望を見いだせるかもしれない。

                            ディピカ

                            コードネーム ディピカ
                            出身地 非公開
                            誕生日 6月12日
                            種族 非公開
                            身長 163cm
                            鉱石病感染状況 非感染者
                            素質 触手召喚
                            基地スキル 注文分配α、集中β
                            スキル スキル1:光陰ノ触
                            スキル2:トロンプイユ

                            個人履歴
                            出身、経歴など全て不明。アーツ、それによる支援、戦術連携などの方面で並々ならぬ戦闘能力を見せる。
                            現在はロドスの特殊行動隊のオペレーターを務める。
                            健康診断
                            造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

                            【源石融合率】0%
                            鉱石病の症状は見られない。

                            【血液中源石密度】0.17u/L
                            本人によると、絵画に使用する絵の具は源石の粉末を原料にしているものも多いらしく、彼女が源石と接触する頻度は他の者よりも多いものと考えられる。
                            資料
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                            • ****

                              セイリュウ

                              コードネーム セイリュウ
                              出身地 炎国
                              誕生日 10月24日
                              種族 エーギル
                              身長 155cm
                              鉱石病感染状況 非感染者
                              素質 クイックメンド
                              基地スキル クリーンエネルギー、再生エネルギー
                              スキル スキル1:ヒールウェーブ
                              スキル2:ピュアスプリング

                              個人履歴
                              かねてより河道の清掃関連の業務に携わっており、水の浄化において極めて豊富な経験を持つ少女。
                              本人からの申し出があり、審査を通過した後、ロドスと契約を結んだ。
                              健康診断
                              造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。
                              循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。
                              以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

                              【源石融合率】0%

                              【血液中源石密度】0.15u/L
                              業務性質上、源石関連の汚染物とよく接触する。現時点では感染リスクは低いが、防護措置を強め、定期検査を行う必要がある。
                              資料
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                                キララ

                                コードネーム キララ
                                出身地 極東
                                誕生日 11月29日
                                種族 エーギル
                                身長 160cm
                                鉱石病感染状況 感染者
                                素質 ソロプレイ
                                基地スキル 注文フロー可視化・α、注文フロー可視化・β
                                スキル スキル1:アンカークラッシュ
                                スキル2:アンカーポイント

                                個人履歴
                                極東出身の学生、キララ。鉱石病を罹患したため故郷を離れた。昔の級友に助けを求める手紙を出してからしばらくすると、オペレーターのウタゲから返信が届き、そこに書かれた指示通りにロドスに訪れ治療を求めた。デジタル製品に詳しく、今は広範囲通信及び設備点検においてロドスに協力している。
                                健康診断
                                造影検査の結果、臓器の輪郭は不明瞭で異常陰影も認められる。循環器系源石顆粒検査の結果に異常があり、鉱石病の兆候が認められる。以上の結果から、鉱石病感染者と判定。

                                【源石融合率】5%
                                体表に少量の源石結晶の分布が見られる。

                                【血液中源石密度】0.17u/L
                                キララの感染はただの事故だった。普段の生活において、彼女は源石に接触することは滅多にない。このような状況を保ち続けば、病状が悪化する可能性は極めて低い。
                                資料
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